友塚畳工店

17 笹巻

奥出雲地方は半夏の時期に笹巻きという笹の葉にくるんだ餅を食べる伝統がある。
笹巻きは笹だけで無く、イグサも使う。笹の最後を止めたり、飾りにしたりする。
笹巻きを作る、近くの学校や近所の人も友塚畳工店にイグサを求めて来られる。

去年、家族で笹巻きを作った。

友塚畳工店笹巻き
(写真は先日、お客さんに頂いた手作り笹巻き)

義父が山に分け入って沢山の笹を取ってきてくれた。一つの餅に5枚の笹が必要。
大変な作業だっただろう。
使える葉をより分ける、洗って保管するのも大変だ。
餅は笹の軸に刺すのだがこの軸を作るのも苦労したのでは無いか。
義父は人知れず黙々と何か作業をする人だ。1人でこれらの作業をしていた。

さて…笹巻きの作り方が誰も分からない。
なんと、YouTubeにあったのだ!
うら若い出雲地方の女性YouTuberさんの動画を観つつ、みんなで作った。

各家庭で餅の作り方、笹の巻き方は少し違うようだ。

義父は思い出したのか友塚家に代々伝わっている作り方をしはじめた。細長く作っていく。

私はYouTuberのを観ながら作りつづけた…。

来年はおとうさんのやり方にしよう。
また来年、教えてもらおうと思っていた。まさか義父が亡くなるとは。

義父は私の作るご飯を文句も言わず喜んで食べてくれていた。
ちょっとしたご馳走様を作ると『こりゃーたかやくだぁ』と言ってくれた。
おせちは特に喜んでお小遣いまでくれた。

畳屋のおせち

みんなで作った笹巻きも『たかやくだぁ』と言いながら喜んで食べていた。

今、スーパーで笹巻きを見ると、なんだか買えない。