人があつまる場を生み出すもの・・・大きな屋根
僕は奥出雲町で建築の設計を生業としています、宇田川孝浩建築設計事務所と申します。
嬉しいことに店舗(以下「畳カフェ」) の設計を担当させていただきました。
当時のことを振り返ると、友塚さん(昭二さん)との 打合せ場所、
主屋と別棟のはなれの室内の風景がまず思い浮かびます。
1階の車庫にはシトロエン 2CV チャールストンが停まっていて、
2階に上がるとDJ機材やオーディオ、スピーカー、コーヒードリップポットなどが並ぶ風景、
コーヒーの香りと音楽、そして床に敷かれた畳。
そう、そこには既に畳カフェと呼び得る友塚さんのつくりだす親密な場所がありました。
ゆっくりコーヒーを飲みながら、友塚さんと一緒に夢と現実の間を彷徨うような感覚がありました。
設計の打合せは、今思い出せばとても素敵な時間でした。
これも設計時の思い出ですが、冬伺ったとき、ちょうどお父さんが雪かきをしておられました。
軒下には積雪から家を守るための雪囲いがありました。
多雪地域の奥出雲のなかでも 特に雪の多い地域です。設計の計算上の積雪が 1.8mにもなります。
雪から建築を守るために、まず大きな屋根を、軒の出の大きな屋根を架け、
その下に人 居場所をつくるというところが建築計画のスタートになったような気がします。
僕の中には、建築のもっとも原初的な場所の生まれ方として、
大きな屋根の下に人が集まるというイメージがあります。
大きな木のような大きな屋根をつくり、その下に人があつまる場、
人と人がつながる場をつくることが、畳カフェの設計のスタートになりました。
つづく
次回は6月20日に投稿いたします。お楽しみに